次の文章Ⅰ、Ⅱ、Ⅲを読んであとの問いに答えなさい。A、B、C、Dから最も適当なものを一つ選んで、解答カードに書きなさい。
文章Ⅰ 肩書きか人間らしさか
サラリーマンにとって係長、課長、部長などのポストはかなり魅力のあるもので、「管理職はサラリーマンの夢である」とさえいわれています。確かに管理職になると多少は給料が増えるということは、否定できない事実であり、(1)それも(2)魅力の一つかもしれません。しかし、実際には管理職の肩書きがつくことによって、自分は(3)出世した、偉くなった、有能で他人より優れている、という優越感に浸れるということにあるようです。
しかし、ここで考えてみなければらないことは、いわゆる平社員と管理職とを比較してみたら、どちらが人間らしい生活ができるか、ということです。多くの人たちは(4)管理職のポストにつくと、その途端に上司の顔色を伺い、その言葉の端々にも気を使うようになります。部下や同僚に対しても一段と腰を低くして、(5)「きらわれまい」と心を砕き、自分の言いたいこともいわずに、ただ、そのポストの責任による重圧に耐え続けて、悩んでいる人が少なくありません。
企業の中間管理職に限らず、社長とか局長、教育長、会長、理事長、ほかでも「長」つまり「長」という字のつくポストがたくさんありますが、(6)長という字のつくポストについている人たちの生き方は、とても人間らしい生き方とはいえない、といってもいいでしょう。もちろん、例外はありますが、個人の人間性を殺さなければ、管理職という仕事はつとまらない、という側面があるからです。これからはのびのびと徹底して平で、しかも人間らしく生き抜こう、肩書きよりも自分の生き方を大切にしようと発想大転換をしなければならない時代に直面しているのではないかと思います。
問題1.「それ」は何を指しているのか。
A サラリーマンの夢 B 管理職の肩書き C 否定できない事実 D 収入が増えること
2. 「魅力」と考えられないのは、次のどれか。
A サラリーマンの夢が実現した大喜びに浸ることができるということである。 B 人より優れているという優越感に浸ることができるということである。 C 収入が多くなることである。 D 平社員より自由な時間がもてるようになるということである。
3.文中の「出世」とはどんな意味なのか。
A 社会に出る B 生まれ変わる C 地位が高くなる D 一人前になる
4.「管理職のポストにつくと」、どうなるのか。
A 責任が重くなり、重圧が増す。 B 部下に対しても大きい顔ができるようになる。 C 上司に対して自由に意見が言えるようになる。 D 多くの人が心臓病になる。
5.「きらわれまい」という表現を解釈すると、次のどれが適当なのか。
A きらわれるようなことをする。 B きらわれないと思う。
C きらわれないだろうと思う。 D きらわれないようにする。
6.「長という字の付くポスト」につくと、どうなるのか。 A 人間らしい生活ができるようになる。 B 人間らしい生活ができなくなる。 C 個人の人間性を殺さなければならない。 D 平社員より自分の好きな仕事をすることができるようになる。
7.作者がここで言おうとしていることは何か。
A 肩書きよりも人間の生き方を大切にすべきだ。 B 管理職の働きやすい職場を作るべきだ。 C 平社員のままで、もっとのびのびと暮らすべきだ。 D 平社員と管理職は相互理解を強めるべきだ。
(参考答案)
(1) D (2)D (3)C (4)A (5)D (6)B (7)A
文章Ⅱ 国民の多くが、自分たちのいいように税金を使ってほしいと考えている。道
路を作ってもらいたいとか、学校をたくさん作ってほしいとか、反対に何も作らなくていいから、その分税金を安くしてほしいとか、いろいろな意見がある。
税金は国民が払ったものである。しかし、税金が自分たちの都合がいいように使われないと言って、政府を批判するのはどうかと思われる。①
税金の使い道は、必ずしも国民の思いどおりにはならない。ある国民にとって都合のよい使い道であっても、国全体から見るとそうでない場合があるからである。たとえば、税金を使って、ある県に高速道路を作ったと考えてみよう。その県の人々にとっては、高速道路が作られれば生活が便利になる。観光客も増える。( ② )、同じだけの税金を払っている他の遠くの県の人にとっては、その高速道路を使う機会は全くないだろう。
このように、税金を全体にバランスよく使うことは難しい。したがって、国民は自分たちの直接の利益にならないといって、単純に政府を批判するべきではない。一方で、政府もできるだけ不公平が生じないように、十分気をつけて税金を使ってもらいたいものである。 (注)使い道:お金などを使う方法、目的。
企業の中間管理職に限らず、社長とか局長、教育長、会長、理事長、ほかでも「長」つまり「長」という字のつくポストがたくさんありますが、(6)長という字のつくポストについている人たちの生き方は、とても人間らしい生き方とはいえない、といってもいいでしょう。もちろん、例外はありますが、個人の人間性を殺さなければ、管理職という仕事はつとまらない、という側面があるからです。これからはのびのびと徹底して平で、しかも人間らしく生き抜こう、肩書きよりも自分の生き方を大切にしようと発想大転換をしなければならない時代に直面しているのではないかと思います。
問題1.①「政府を批判するのはどうかと思われる」とあるが、筆者の考えに最も近いものはどれか。
A 政府の決定に賛成だ。 B 政府の決定に反対だ。 C 政府批判に疑問がある。 D 政府批判と同様の意見だ。
2.( ② )に入る最も適当な言葉はどれか。
A しかし B それで C したがって D そのうえ
3.本文の要約として最も適当なものはどれか。
A 税金が自分たちにとって都合よく使われるように、国民は政府を批判していくべきである。
B 政府はいつも国民に平等に利益があるように税金を使っているので、批判されるべきではない。
C 税金の使い道を決めるとき、政府は全体のバランスを重視しているので、不公平感が生じることは少ない。
D 税金は全ての国民にとって直接利益になるわけではないが、政府はそれを平等に使うよう努力をするべきである。
(参考答案)
1.C 2.A 3.D
文章Ⅲ
私たちは、食べるためばかりでなく、便利で快適な生活を送るために、知らず知らずのうちに多くの生き物の命を奪っています。しかしこのことは、日常生活のなかで実感としてもつことはすくないでしょう。人が生き物の命の尊さをわかるには、逆説的になるかもしれませんが、生き物の命をあやめているという「実感」をもたなければならないでしょう。そうした過程を経なければ、命の尊さなどということはわからないのではないでしょうか。(注)尊さ(たっとさ):大切さ あやめる:殺す 逆接になる:矛盾しているように見える 問題 「そうした過程」とはどのようなことか。
A 生き物とともに、便利で快適な生活を送る経験をすること。
B 実際に生き物を殺しているということを心から強く感じること。
C 食べるためには、多くの生き物を殺すことは当然だと考えること。
D 多くの生き物の命を奪っていることに気づかないまま生活すること。
(参考答案)B